7月の物価は前年比2.7%上昇、米国で上がって日本で上がらない物価とは
総務省は23日、2024年7月の消費者物価指数(CPI)を発表しました。2020年を100とした場合の生鮮食品を除く総合指数は108.3となり、前年同月比では2.7%上昇、前月比では0.3%上昇となりました。政府の「電気・ガス価格激変緩和対策事業」が終了し、電気代やガス代が大きく上昇したことが物価指数の上昇に拍車をかけた形となりました。
新型コロナのパンデミックを背景とした製造業や物流の混乱のほか、ウクライナ危機など様々な要因によって、2021年ごろから世界的にインフレが加速しています。日本の場合、2021年通年の生鮮食品を除く消費者物価指数は前年比0.2%下落だったものの、22年は同2.3%上昇、さらに23年は41年ぶりの上昇幅となる同3.1%上昇となりました。
基準年である2020年に比べると、日本の物価はわずか4年で約8%も上昇したことが分かります。特に24年3月からは物価上昇のペースが加速傾向にあるのが気になるところですが、日本以外の国の物価上昇はどの程度なのでしょうか。ここでは、世界一の経済大国である米国の状況について見てみたいと思います。
米労働省によれば、米国の2021年通年のインフレ率は前年比4.1%、22年には同8.0%に達し、コロナ禍の真っ只中から激しいインフレに見舞われていました。しかし、23年には同4.1%まで低下したほか、24年は7月時点でCPI上昇率は前年同月比2.9%まで低下しています。米国は日本より早期に、日本より激しい物価上昇が生じたものの、利上げを背景にインフレはすでに沈静化しつつあることが分かります。
また、日本と米国では物価上昇の「カテゴリー」にも大きな違いが見られます。総務省の統計によると、日本の場合は特に菓子や肉類などの「食料」や、ルームエアコンなどの「家具・家事用品」のカテゴリーにおいて物価上昇が顕著であり、その背後には原材料価格や物流費の上昇があると指摘されています。
一方、米国で近年顕著に物価が上昇したカテゴリーの1つが「住居費」です。新型コロナで在宅勤務が増えたことで大きく家賃が上昇しましたが、日本の場合は火災保険料や地震保険料などのCPIは上昇したものの、家賃は民営・公営ともにほとんど変化していません。
また、自動車社会である米国では、中古車価格が大きく上昇し、さらには自動車保険料や輸送料も上昇したものの、日本の場合は自動車保険料は逆に下落しています。世界を襲ったインフレの波ですが、社会や経済構造の違いによって、価格の上昇率や上昇したカテゴリーには様々な違いがあることが見て取れます。