中国軍機の領空侵犯、台湾人識者「日本人の対中感情は大きく損なわれる」
防衛省によれば、中国人民解放軍の情報収集機「Y-9」は8月26日、長崎県男女群島の領空を侵犯しました。約2分間にわたって領空を侵犯した中国側に対し、外務省は「極めて厳重に抗議するとともに、再発防止を強く求めた」と発表しました。
中国軍機が初めて日本の領空を侵犯したことについて、その「意図」に対して様々な憶測が広がりましたが、中国外交部は8月28日、「中国軍機はいかなる国に対しても領空侵犯をする意図はない」と発表。
さらに中国国防部は翌29日、「中国は各国の主権を尊重しており、今回の件を過度に解釈しようとしないよう望む」と発表するなど、領空侵犯の意図は明確にしませんでした。
一方、中国のネット上では「日本の護衛艦が7月4日に中国領海内を航行したこと」を理由として挙げる声が多く見られました。たとえば「日本の護衛艦が20分も中国領海内を航行したことの報復だ」との主張や、「やられたら、やり返すということを行動で示しただけ。しかも日本が20分も侵犯したのに対し、中国側が侵犯したのはたったの2分であり、報復の程度は軽い」といった声が見られました。
「日本が先に手を出した」というのが、多くの中国人ネットユーザーたちに共通する意見のようですが、今回の中国軍機による領空侵犯について、米国と台湾での見方を調べてみました。
米国の防衛専門メディア「ブレイキングディフェンス」は、領空侵犯を故意に行うことで日本の対空レーダーを起動させて対空防衛に関するデータをできる限り多く集めることが目的だった可能性を指摘。
また、台湾メディアの中央通信社は4日、台湾のシンクタンク・国防安全研究院の王尊彦副研究員の見解として「日本が安全保障分野で同盟国との連携を強化していることを牽制する意図があった」と紹介したほか、今回の領空侵犯によって日本人の対中感情が大きく損なわれる可能性があると伝えています。