「首相」を直接選べない日本、米国の大統領選とは何が違うのか

「首相」を直接選べない日本、米国の大統領選とは何が違うのか

 岸田文雄首相の任期満了による自民党総裁選挙が9月27日に行われます。自民党総裁選は実質的に日本の次の首相を決める選挙ですが、自民党総裁選はすべての日本国民が投票できるものではありません。

 自民党によれば、自民党総裁選で投票権があるのは「総裁選挙の前2年継続して党費を納めた自民党員」に限られます。米国で2024年11月に行われる大統領選挙では米国民が直接、大統領を選んでいるように見えますが、日本と米国の選挙制度には違いがあるのでしょうか。

 「大統領制」を採用している米国ですが、実は米国民が直接、大統領選挙に投票できるわけではありません。米国の大統領選挙は、有権者はあらかじめ投票先を宣誓した「選挙人」を選び、選挙人団が大統領選で投票するという「間接選挙」となっています。

 米国の大統領選挙では、全米の538人の選挙人のうち270以上の選挙人を獲得した候補者が大統領に当選する仕組みとなっており、選挙人の数は各州の人口に応じて数が割り当てられています。

 そして、ほとんどの州において「最多の得票数を獲得した候補が、その州のすべての選挙人を獲得する」という「勝者総取り方式」が採用されているため、大統領候補者にとってはカリフォルニア州などの人口の多い州で勝つことが非常に重要となるのです。

 米国の大統領選挙は間接選挙だと指摘しましたが、投票用紙には「大統領候補の氏名」が書かれており、有権者は選挙人を選ぶわけではありません。そして、選挙人も有権者の投票結果に基づいて投票するため、米国の大統領選挙は実質的には「直接選挙」に近いと言われています。

 一方、日本では「議院内閣制」が採用されています。「内閣総理大臣(首相)は、国会議員のなかから国会の議決で指名される」という同制度のもとでは、国民が直接、首相を選ぶことは不可能です。

そして、日本では連立政権でない限りは衆議院の第一党の党首が首相に選ばれることが一般的となっており、それゆえ衆議院で最も多くの議席を獲得している自民党の次期総裁が次期首相になるというわけです。

参考文献