深圳の日本人男児殺害事件 中国は統制対象に では世界はどう報じたのか

深圳の日本人男児殺害事件 中国は統制対象に では世界はどう報じたのか

 中国・深圳で18日、日本人学校の生徒が中国人男性に刃物で襲われて死亡する事件が発生しました。中国では6月にも日本人親子が襲われる事件が発生したばかりであり、現地における反日感情の高まりが懸念されています。

 中国では9月18日は満州事変が勃発するきっかけとなった「柳条湖事件」が発生した日として広く認識されており、18日には中国各地で「国辱を忘れるな」、「歴史を胸に刻め」などと銘打った式典が行われました。日本人学校の生徒が襲われたのは、このような歴史的背景がある日だっただけに、死亡事件は中国でも大きな注目を集めています。

 しかし、この事件はすでに情報統制の対象となっているようです。投稿したユーザーが自ら消したのか、それとも消されたのかは不明ですが、日本人生徒が死亡する前に事件を取り上げていたSNSの書き込みやブログ記事などはことごとく消えています。

 中国ネット上で事件について検索しても、公的な発表や事実関係だけを報じた記事しかヒットしない状況となっており、中国のネット上においては日本人生徒の殺害事件は自由に発言できない、「敏感」な事件として扱われていることがうかがえます。

 日本や中国以外の国では、今回の事件はどのように報じられているのでしょうか。米国の華字紙「チャイナデジタルタイムズ」は、中国国内では「排外主義的な暴力に対して、多方面から抗議の声があがった」と伝え、献花のために事件現場を訪れた男性が「長期にわたって憎悪を煽る教育を続けてきた結果だ」と述べたことを紹介しました。

 米国の国営放送「ボイス・オブ・アメリカ」は、事件の事実関係を紹介したうえで「事件発生日は満州事変が勃発した日から93年目に当たる日だった」ことを指摘し、その関連性を示唆しました。また、米国では中国国内で6月に発生した米国人大学教員に対する襲撃事件と合わせて紹介し、排外主義の高まりに懸念を示す報道も多く見られます。

 また、シンガポールメディアのCNAは、「中国軍機の日本領空侵犯などで外交関係が緊張するなか、日本人学校襲撃事件が再び発生した」と指摘し、今回の事件が日中関係をさらに緊張させる可能性を指摘しています。

参考文献