石破氏が自民党の新総裁に 中国報道「決して悪い話ではない」

石破氏が自民党の新総裁に 中国報道「決して悪い話ではない」

 岸田文雄首相の任期満了による自民党総裁選挙が9月27日に行われ、石破茂氏が決選投票のすえに新総裁に選出されました。

 防衛大臣を務めた経歴を持ち、アジア版の北大西洋条約機構(NATO)創設を主張している石破氏が自民党の新総裁となり、日本の首相に就任することについて、世界のメディアはどのように報じたのでしょうか。

 米国の国営放送「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」は27日、石破氏は故・安倍晋三氏に反発していた人物として有名だったと紹介、さらに、在日米軍の取り扱いを定めた「日米地位協定」の改定に取り組む意欲を示していることを指摘し、日米間に軋轢が生じる可能性を示唆しました。

 また、VOAは28日、中国の反応を取り上げたうえで、中国でも「アジア版NATO」の提案が大きな注目を集めたことを伝え、中国共産党系の環球時報が有識者の見解として「中国は石破氏への警戒を怠ってはならない」と強調したことを伝えました。

 一方、中国国内の報道を見てみると、石破氏の新総裁選出に対して必ずしも「警戒」一色というわけではなさそうです。中国メディアの重慶日報は29日、石破氏が極端な対中政策を取る可能性は低いとし、「自民党総裁選で決選投票の相手となった高市氏に比べ、石破氏は相対的に穏健な政治家だ」と主張。

 さらに、日本と中国は経済的に相互依存の関係にあることを知っている石破氏は「日中間にある敏感な問題において挑発的な態度を取る可能性は低い」と主張しました。

 また、羊城晩報は28日、石破氏の新総裁選出は「決して悪い話ではない」とし、石破氏は2002年以来、靖国神社への参拝を行っていないと紹介したほか、「防衛大臣を務めたことのある石破氏は確かに自衛隊強化を訴えているが、現実派の石破氏が極端な行動に出るとは考えにくい」と主張。続けて、保守的かつ強硬派として知られた高市氏が首相になるよりも、日中関係には石破氏の方が「よっぽど良い」との見方を示しました。

そのほか、韓国の朝鮮日報は、石破氏が2017年に「日本は慰安婦問題で韓国が受け入れるまで謝罪しなければならない」と発言した人物だと紹介し、平和的に問題に対処する「ハト派」である石破氏によって日韓関係が改善されることに期待を示しています。

参考文献