日本の「最低賃金」、世界と比較してみたら「こんなにも低かった!」
10月27日に投票が行われる「衆議院選挙」を争う政党の多くが、最低賃金を「1500円」に引き上げると公約に掲げています。最低賃金が上昇することで、働く人びとの収入が徐々にでも増加していくのであれば、これは喜ばしいことです。
厚生労働省によれば、現在(2024年4月〜25年3月)の日本の最低賃金は全国加重平均で前年比5.1%増の1055円となっていますが、日本の最低賃金は世界的に見てどの程度の水準にあるのでしょうか。
物価水準や為替の影響は国によって異なり、最低賃金をそのままドル換算して比較することはできないため、物価の違いを考慮した購買力平価(PPP)ベースで比較することが一般的です。そして、経済協力開発機構(OECD)が発表している統計を見ると、日本の最低賃金は先進国の水準としては「かなり低い」ことが見えてきます。
OECDの2023年の統計によると、日本の最低賃金で1年間働いた金額を購買力平価(PPP)をもとに米ドル換算すると「1万9269ドル」にすぎません。日本はトルコやギリシャなどと同水準であり、韓国の「2万5857ドル」を大きく下回っています。
OECD加盟国のうち、最も高い水準だったルクセンブルクやドイツ、ベルギー、オランダ、ニュージーランドなどはいずれも3万ドルを超えており、日本の水準を50%以上も上回っていることになります。
日本の最低賃金が現在の約1.5倍に当たる「1500円」になり、現在のまま物価が変わらないと仮定すれば、PPPをもとにした米ドル換算では3万ドルの大台も見えてくる可能性がありそうです。
しかし、賃金が上昇すれば、物価も相応に上がることになるはずです。したがって、購買力平価(PPP)をもとにした「最低賃金で1年間働いた金額(米ドル換算)」が大きく上昇することは難しく、世界と比較した日本の最低賃金のランクの上昇も難しいのかもしれません。
参考文献