日本は国民負担率はまだマシな方?稼ぎの約7割が消える国とは
「国民負担率」という言葉を耳にする機会が増えたと感じる人は多いのではないでしょうか。国民負担率とは所得に占める「税金と社会保険料の割合」で、2024年度の国民負担率は「45.1%」と試算されています。
この国民負担率は年を追うごとに右肩上がりで上昇し続けています。財務省の「国民負担率(対国民所得比)の推移」によれば、1970年度における国民負担率はわずか24.3%でしたが、1979年度には初めて30%を超えました。
さらにバブル崩壊やデフレなどで経済成長が低迷するなかでも国民負担率は上昇を続け、2013年度には40%の大台を突破。21年度や22年度は48%台まで上昇したものの、24年度は45.1%となっています。
「五公五民」などと言われるように、現代の日本人は計算上、所得の「約半分」を税金や社会保険料として支払っている計算となるわけですが、他国の国民負担率はどの程度なのでしょうか。今回はG7(主要国首脳会議)に数えられる米国、英国、イタリア、カナダ、ドイツ、フランスの国民負担率(国民所得ベース)を日本と比較してみます。
まず日本の国民負担率より低い国としては「米国」があります。米国の国民負担率は2021年の時点で33.9%でしたが、米国の場合は税負担の割合こそ日本とさほど変わりませんが、社会保証負担率が日本に比べて10ポイント以上も低くなっています。米国では老後や医療の備えは自己責任のもと自己資金で行うという考え方が一般的であり、社会福祉が日本や欧州ほど充実しておらず、そのぶん国民負担率も低めです。
次に日本と同程度の国としては47.7%の英国、45.6%のカナダが該当しました。そして、日本より国民負担率が高い国としては、54.9%のドイツ、60.1%のイタリア、68.0%のフランスが該当しました。
「五公五民」どころか、「七公三民」に近い水準のフランスでは、計算上では所得の43.9%が税金で消え、さらに社会保険料で24.1%が消えてしまうという状況となっています。消費税に該当する付加価値税が20%に達するフランスでは、税負担の割合が日本よりも10ポイントも高くなっており、日本とは比べものにならないほど重い負担を強いられていることが分かります。
国民負担率は「国民所得ベース」か、「GDPベース」かで数値は大きく変わりますが、どちらで計算しても日本の国民負担率は「世界的に見れば中程度」というのが現状のようです。
参考文献